トレーニング
- 2014/07/24
- 12:32
参考にしてね(笑)

今の俺の気持ちです‥‥
ではなくて🔽です(笑)
“両目を理想的に使いこなす”とは?
前回は「“ライフキネティック理論”とは何か?」というのを簡単に説明させてもらいました。今回は理論の一部分を掘り下げ、さらに詳細にご説明したいと思います。
みなさんは両目を正しく使えていますか?
自分が見ている世界はすべて正しく、そのままだと考えていますか?
ほとんどの人は見えている景色を疑うことなどしませんが、ライフキネティック社の創始者であるホルスト・ルッツは「実は、そうではない」と指摘します。
彼は男女様々なジャンルやカテゴリーの、トップアスリートからホビーキッカーまで2000人を対象にテストを行ったそうです。その結果から「両方の目を理想的に使いこなせている人は一人もいなかった」と判断しています。
人にはそれぞれ“利き目”があり、物を3次元で捉えるため、反対の目がサポートをしているそうです。そうして、目による情報が最適に処理されることで目の前に広がるものを“理想的に”見ることができるそうなのですが、どうしても情報処理のスピードに偏りができてしまい、ずれが生じてしまうと。
ルッツによると、「視野とは目で見える範囲」のことではなく、「一瞬で目が拾ってきた情報を脳が把握し、処理しきれる情報量」のことを指すそうです。
クラマーは視野の重要性を認識していた
私はこれを聞いた時、日本サッカーの父とよばれるデットマール・クラマーさんが語ってくれた、ある話を思い出しました。
「あれは、私がバイエルン・ミュンヘンの監督をしていた時のことだ。チームには、当時まだ18歳だったカール=ハインツ・ルンメニゲがいた。ある日、彼を散歩に誘い、話をしながら歩いていたんだ。あるところで、ふいに私は『カール、後ろを見てみろ』と言った。ルンメニゲは振り返ると不思議そうに顔を戻した。その時、私は彼に尋ねたんだ。
『何が見えた?』
『赤い車が見えましたが』
『それだけか?』
『え?』
『女の子の姿は見えなかったか?』
ルンメニゲは後ろを振り返り、『ああ、いました。見えませんでしたね』と答えたんだ。その後、私は彼の顔をじっと見ながらこう伝えた。
『見えなかったのではない。見ようとしなかったのだ。いいか、物事というのは意識して見ようとしない限りは目に入ってこないんだ。ピッチ上でも同じだ。意識してみようとしなければならないものは何か。それをしっかりと考えるんだ』とね」
さて、ルッツは両目を理想的に使いこなすことを“両目の筋肉の最適化”と表現していました。それを行うためには、視野を鍛える必要があります。“視野を鍛える”とは、目で捉えた情報を脳が処理するまでのスピードを上げることです。そこで、その処理までの速度を上げるためには、具体的にどのようなトレーニングをするのでしょうか。
視野を鍛え、同時に体で表現できるのが大切なこと
少し前回のおさらいです。ライフキネティック理論では、複数のコーディネーション運動と認知・視覚能力が問われる課題を、同時、あるいは順番に行うとご説明しました。その中でこんなトレーニングも行いました。
7~8人で、2つのグループに分かれて円状になります。まず、青色の柔らかいボールを手を使ってパスしていきます。その際、誰からパスをもらい、誰にパスをするのかを覚えておき、その順番通りにボールを回していきます。ここまでは簡単です。
次に、赤色のボールで同じことをします。ただし、違った順番で! さらに、同じことを黄色のボールでもやるのです。この時、人の円状には3色のボールが回っていく3つの順番が完成したことになります。その順番の記憶を思いだしながら、まずは2つのボールを同時に使ってパスを回します。これが難しい。
「えーっと、赤の時はクレアからパスをもらって、リカルドにパス。青の時は、ソーニャから、あれ、ソーニャってどこ?」と、私がちょっと混乱していると、「キチ! はい、パス!!」と、全く逆の方向からボールが飛んできます。これに反応しきれなくて頭にボールが当たると、みんなで大笑い。再度、順番を確認して「次こそは!」と、みんなで気合いを入れてトライするのですが、飛んでくるボールを取って、パスすることを意識した瞬間、順番を覚えている脳の回路がショートするというか、頭の中が真っ白になるというか、とにかくみんなの動きが一斉に止まってしまうのです。
私のグループはすでに2つのボールが限界。うまくいかなくて、みんなで顔を見合わせて笑い合ってしまいました。隣のグループは結構うまくできていましたが、3つのボールで失敗。さすがに、そこが限界のようでした。
ルッツによると「例えば、ボールの大きさを代えるとか、1つのボールは足でパスするとか、赤のボールは両手で取らないといけないとか、条件を変えるだけで際限なく難易度を上げることができます」とのこと。これだけ難しいことにチャレンジしたのだから、相当の刺激が脳に与えられたはず(笑)。でも、さすがに1回やっただけでどうこうなるものではないようです。
ルッツは、ライフキネティック理論のトレーニングについてこう伝えていました。
「ライフキネティック理論のトレーニングは、長い時間やればやるほどいいものではありません。1週間に1回60分間、もしくは、週に2~3回15~20分間のトレーニングを推奨します。効果が出るまでは、6~8週間はかかりますが、これまで集めたデータだと、上記の条件でトレーニングをした大人の97%、子どもの91%がパフォーマンスアップをしたという結果が出ています」
ドイツ代表やドルトムントも随分前から取り組んでいます。それだけに長期的なプランが必要だということですね。朝10時から夕方18時まで、食事休憩以外は理論と実践でびっちりのスケジュールでしたが、とても興味深く、楽しいセミナーでした。また機会があれば、ジュニサカさんで詳しく紹介したいと思います。

今の俺の気持ちです‥‥
ではなくて🔽です(笑)
“両目を理想的に使いこなす”とは?
前回は「“ライフキネティック理論”とは何か?」というのを簡単に説明させてもらいました。今回は理論の一部分を掘り下げ、さらに詳細にご説明したいと思います。
みなさんは両目を正しく使えていますか?
自分が見ている世界はすべて正しく、そのままだと考えていますか?
ほとんどの人は見えている景色を疑うことなどしませんが、ライフキネティック社の創始者であるホルスト・ルッツは「実は、そうではない」と指摘します。
彼は男女様々なジャンルやカテゴリーの、トップアスリートからホビーキッカーまで2000人を対象にテストを行ったそうです。その結果から「両方の目を理想的に使いこなせている人は一人もいなかった」と判断しています。
人にはそれぞれ“利き目”があり、物を3次元で捉えるため、反対の目がサポートをしているそうです。そうして、目による情報が最適に処理されることで目の前に広がるものを“理想的に”見ることができるそうなのですが、どうしても情報処理のスピードに偏りができてしまい、ずれが生じてしまうと。
ルッツによると、「視野とは目で見える範囲」のことではなく、「一瞬で目が拾ってきた情報を脳が把握し、処理しきれる情報量」のことを指すそうです。
クラマーは視野の重要性を認識していた
私はこれを聞いた時、日本サッカーの父とよばれるデットマール・クラマーさんが語ってくれた、ある話を思い出しました。
「あれは、私がバイエルン・ミュンヘンの監督をしていた時のことだ。チームには、当時まだ18歳だったカール=ハインツ・ルンメニゲがいた。ある日、彼を散歩に誘い、話をしながら歩いていたんだ。あるところで、ふいに私は『カール、後ろを見てみろ』と言った。ルンメニゲは振り返ると不思議そうに顔を戻した。その時、私は彼に尋ねたんだ。
『何が見えた?』
『赤い車が見えましたが』
『それだけか?』
『え?』
『女の子の姿は見えなかったか?』
ルンメニゲは後ろを振り返り、『ああ、いました。見えませんでしたね』と答えたんだ。その後、私は彼の顔をじっと見ながらこう伝えた。
『見えなかったのではない。見ようとしなかったのだ。いいか、物事というのは意識して見ようとしない限りは目に入ってこないんだ。ピッチ上でも同じだ。意識してみようとしなければならないものは何か。それをしっかりと考えるんだ』とね」
さて、ルッツは両目を理想的に使いこなすことを“両目の筋肉の最適化”と表現していました。それを行うためには、視野を鍛える必要があります。“視野を鍛える”とは、目で捉えた情報を脳が処理するまでのスピードを上げることです。そこで、その処理までの速度を上げるためには、具体的にどのようなトレーニングをするのでしょうか。
視野を鍛え、同時に体で表現できるのが大切なこと
少し前回のおさらいです。ライフキネティック理論では、複数のコーディネーション運動と認知・視覚能力が問われる課題を、同時、あるいは順番に行うとご説明しました。その中でこんなトレーニングも行いました。
7~8人で、2つのグループに分かれて円状になります。まず、青色の柔らかいボールを手を使ってパスしていきます。その際、誰からパスをもらい、誰にパスをするのかを覚えておき、その順番通りにボールを回していきます。ここまでは簡単です。
次に、赤色のボールで同じことをします。ただし、違った順番で! さらに、同じことを黄色のボールでもやるのです。この時、人の円状には3色のボールが回っていく3つの順番が完成したことになります。その順番の記憶を思いだしながら、まずは2つのボールを同時に使ってパスを回します。これが難しい。
「えーっと、赤の時はクレアからパスをもらって、リカルドにパス。青の時は、ソーニャから、あれ、ソーニャってどこ?」と、私がちょっと混乱していると、「キチ! はい、パス!!」と、全く逆の方向からボールが飛んできます。これに反応しきれなくて頭にボールが当たると、みんなで大笑い。再度、順番を確認して「次こそは!」と、みんなで気合いを入れてトライするのですが、飛んでくるボールを取って、パスすることを意識した瞬間、順番を覚えている脳の回路がショートするというか、頭の中が真っ白になるというか、とにかくみんなの動きが一斉に止まってしまうのです。
私のグループはすでに2つのボールが限界。うまくいかなくて、みんなで顔を見合わせて笑い合ってしまいました。隣のグループは結構うまくできていましたが、3つのボールで失敗。さすがに、そこが限界のようでした。
ルッツによると「例えば、ボールの大きさを代えるとか、1つのボールは足でパスするとか、赤のボールは両手で取らないといけないとか、条件を変えるだけで際限なく難易度を上げることができます」とのこと。これだけ難しいことにチャレンジしたのだから、相当の刺激が脳に与えられたはず(笑)。でも、さすがに1回やっただけでどうこうなるものではないようです。
ルッツは、ライフキネティック理論のトレーニングについてこう伝えていました。
「ライフキネティック理論のトレーニングは、長い時間やればやるほどいいものではありません。1週間に1回60分間、もしくは、週に2~3回15~20分間のトレーニングを推奨します。効果が出るまでは、6~8週間はかかりますが、これまで集めたデータだと、上記の条件でトレーニングをした大人の97%、子どもの91%がパフォーマンスアップをしたという結果が出ています」
ドイツ代表やドルトムントも随分前から取り組んでいます。それだけに長期的なプランが必要だということですね。朝10時から夕方18時まで、食事休憩以外は理論と実践でびっちりのスケジュールでしたが、とても興味深く、楽しいセミナーでした。また機会があれば、ジュニサカさんで詳しく紹介したいと思います。

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