明日のジョー
- 2014/07/21
- 02:15

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(葉子セリフ)
こんばんは矢吹くん…さんざん逃げまわったけど
この武道館の控室にだけはやって来ないわけにはいかなかったわね
仕方なく私も、ギリギリどたん場のこの日に賭けるしかなかった
矢吹くん リングへあがるのはおやめなさい!
手紙に書いた、あなたにとってショッキングな事実…というのを言います
(丈セリフ)
どうした…早くいえよ
(葉子セリフ)
矢吹くん…あなたの全身はパンチ・ドランカー症状にむしばまれています
しかも そうとう重症の…!
これは斯界の権威 ドクター・キニスキーの診断であり、
厳然たる事実です!!
(丈セリフ)
だからどうした
(葉子セリフ)
だから…どうした…?
あのホセ・メンドーサの猛威にさらされれば
あなたは一生を廃人として送ることになるんですよ
あのかわいそうなカーロス・リベラのように!!
(丈セリフ)
カーロスのことは口にするなよ
あんたがカーロスのことを口にしちゃいけねえ
あんたにはその資格がねえ
(葉子セリフ)
彼の…いえ…彼のことはともかく
今さら今夜の試合を中止するとなれば、
当然莫大な違約金をチャンピオンや主催者たちに
支払わなくてはならないでしょう。それは全額私が負担します
ですから…お願いだからいますぐ引退を発表して!!
きいてるの矢吹くん!
(丈セリフ)
いろいろ言ってくれるが…無駄だ、よしな
(葉子セリフ)
…
ま…まさか…まさか知っていて…
廃人になる運命を覚悟のうえでリングにあがるというのではないでしょうね…!?
(丈セリフ)
ふふふ…あんたからごていねいな忠告をきかせてもらうまでもなく
以前からうすうす知っちゃいたさ 自分の体だよ
だからってどうってこともないさ
もうここまで来ちまってはな
すでに半分ポンコツで勝ちめがないとしたって
そういうことじゃないのさ
(葉子セリフ)
矢・・・矢吹君・・・!
(丈セリフ)
せっかくだが出てってくれ
いつかもいったろう…ここは女のくる場所じゃねえ
…
あんたが出て行かないのなら 俺が出ていくぜ
(葉子セリフ)
まってよ矢吹くん!
(丈セリフ)
まだ なんか話があるのかい…
(葉子セリフ)
お・・・お願い 待ってちょうだい
(丈セリフ)
ほう…あんたにも涙ってもんがあるとは意外だったな
(葉子セリフ)
一生のおねがい…!!
(丈セリフ)
…
ま…心配してくれてるらしい 光栄だね ありがとうよ

(葉子セリフ)
好きだったのよ…最近まで気がつかなかったけど
お願い…わたしのために わたしのためにリングへあがらないで!!
(丈セリフ)
こいつあ…おどろいたな とんだ衝撃の告白だ
女性週刊誌にそのネタを売ってみな 大喜びで飛びついてくるぜ
(葉子セリフ)
まじめに聞いて 矢吹くん
(丈セリフ)
よしてくれ 女が軽々しくそんなセリフをはくもんじゃねえ
実に安っぽく見えるぜ
俺がふざけているように見えるかい
(葉子セリフ)
安っぽく見えようがどうだろうとそんなこと問題じゃない…
この世でいちばん愛する人を…
廃人となる運命のまつリングへあげることは絶対にできない!!
(丈セリフ)
…
(丹下会長セリフ)
ジョー… おいジョー どうした開けろ!
そろそろ出番だぞ なにしとる あけんかジョーッ
(丈セリフ)
リングには世界一の男 ホセ・メンドーサが俺を待っているんだ
だから…いかなくっちゃ
(葉子セリフ)
矢吹くん…!
(丈セリフ)
ありがとう…

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これ、感動の名場面です。
ここに至るまで、多くの出来事、紆余曲折がありました。
力石戦の後、顔面を殴れないボクサーになってしまったジョー。
矢吹自身、負けが続き、協会から試合が組まれなくなった。
一方、白木ジムを引き継いだ葉子さんは、
ベネズエラからカーロス・リベラを招集。
世界チャンピオンが対戦を逃げ回っているという世界ランカー。
野性の、世界最高峰のボクサーのカーロス・リベラを。
ジョーは葉子さんの仕掛けに乗る。
仕事が無くなったので、スパーの相手を俺がやる、と白木ジムに乗り込む。
カーロスは矢吹を見て、何かを感じ、彼とスパーがやりたい、と。
そしてスパーリング開始。矢吹はカーロスと対峙し、戦う。
いつの間にか顔面を殴れるように。
お互い決着はつかなかったが、矢吹は復活の手応えを掴む。
その時の丹下会長の笑みといったら無い。
葉子さんの粋なはからいで、矢吹と試合を組む事を提案。
カーロス、ジョーも願ったり叶ったり。
実はカーロスは、ジョーとの試合前に、
世界チャンピオンのホセとのタイトルマッチが決まった。
その試合に向けて、カーロスは矢吹戦がラストマッチ。
そのカーロスvsジョーの試合が始まる。
この激戦は伝説。
見ていて、涙が出る試合。
矢吹戦を終えたカーロスは、日本を去り、ホセとの世界戦に臨む。
但し、カーロスはホセに完敗。
しかもカーロスはホセ戦後、パンチドランカーに・・・
カーロスは話もロクに出来ず、
ボタンも締められない男になってしまった・・・
ジョーは信じられない。
そして、徐々に分かってくるのだが、
実は丈もパンチドランカーになってしまう症状が判明。
クロスカウンターでKOを狙うジョーのスタイルは、
パンチドランカーになる要素を備えていたわけである。
矢吹はその後も勝ち続け、世界戦へ。
もちろん、その世界戦(ホセ戦)を仕掛けたのも葉子さん。
その世界戦の前に、葉子さんはジョーの砂浜の足跡を見て、
パンチドランカー症状の疑いを持ち、Dr.キニスキーに相談。
矢吹のパンチドランカーの症状の事実を掴む。
葉子さんが会いたい、とジョーに言っても、矢吹は一切会わない。
手紙が来ても、一切見ない。ジョーは無視し続けた。
そして、いよいよ試合当日。
場所は日本武道館。
世界タイトルマッチ。
ホセ・メンドーサvs矢吹ジョー
その日本武道館の、選手控え室。
控え室で試合を待つ矢吹のもとへ、
パンチドランカーの事実を矢吹に伝えるべく葉子さんが向う。
そして衝撃の告白へ。
この後・・・、冒頭のシーンへ
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